Morita Lab blog

研究室のニュースやトピックスなどを紹介します

2019.7.1 論文が掲載されました

Methods in Molecular Biology という実験手法論に特化した雑誌に論文が掲載されました。阪大時代に私の研究室で助教として参加していた田端くん(現在はハイデルベルク大)と、同じく阪大時代にCLEM(Correlative light electron microscopy)という特殊技術を提供してくださった大森さん、それから免疫電子顕微鏡解析の共同研究をしている長浜バイオ大学の奈良先生との共同執筆です。皆さんイメージング解析のプロで、抗体を使った分子とウイルスの検出方法についてまとめたテクニカルマニュアルです。皆さんのご協力に感謝。

https://link.springer.com/protocol/10.1007%2F978-1-4939-9492-2_6

2019.6.28 信州松本訪問

信州大学医学部にて開催された第二回がん・ウイルス研究会に参加してきました。全国の東北大学の医学部免疫学に所縁があるPIの先生方が集まって、研究内容について議論する研究会です。昨年に引き続き今年も参加してきました。皆んさ、顔見知りの先生ばかりですので質疑応答や議論の内容もいつもより濃く、とても充実した時間を過ごすことができました。今回は、私は大学院生の荒川くんや石田くんが行っているフラビウイルスの複製オルガネラについての研究内容について発表してきました。概ね好評でしたが、何人かの先生方からクリティカルな質問をいくつか頂きました。今後の研究に役立てていけたらと思っています。晩は12時過ぎまで懇親会。調子に乗って飲み過ぎました。

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会場の医学部の建物

話は変わりますが、会場の信州大学がある松本、遠かったです、、。朝イチに家を出て、東京まで出た後、新宿から特急あずさに乗って揺られること2時間半。長旅でした。しかし、北アルプスを一望できる素晴らしいロケーション。いいところです。そして、興味深かったのは駅で売られている松本のお土産のだいたいはりんごの加工品。ざっと見てみましたが、ラベルが違うだけで中身は弘前で売っているものとほとんど同じですね。

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2019.6.26 誕生日おめでとう、そして院試お疲れさまでした

ラボメンバーの誕生日会。そして、4年生の院試直前の壮行会。

ケーキを研究室のオーブンで焼いてたべました。美味しかったですね。

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ラム酒が効いていて午後はフワフワとした気分でした。

 

 

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 今年は、4年生全員大学院への進学を希望しており、午後からの試験の本番。

そしてこの誕生日会が院試直前の壮行会になりました、、。

果たして、みんなの応援は彼らに届いたのか、、(^_^;;

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2019. 6.18 ウイルスの世界

今年度から教養教育科目で「ウイルスの世界」という講義を前期に開講しています。ひたすらウイルスについて話す講義です。実は、専門科目でも「細胞分子生物学」という講義も持っており、そこでも多少はウイルスについて解説するんですが、せいぜい1-2回程度で。この教養教育科目では15回全てウイルスについての講義です。はじめは話す内容そんなにあるかな?と危惧しておりましたが、そんな心配は無用でした。インフルエンザの説明だって1回で終わらず、2回に分けて行いましたし、HIVの講義はこのコースの目玉で、こちらも2回に分けてじっくりと解説しました。次回からは肝炎ウイルスの解説なのですが、こちらも、当初一回で終わらせるつもりだったのですが、2回にまたがりそうです。この分では、話したいことが全部話せないうちに終わってしまいそうで少し心配しています。昆虫媒介性ウイルスの話も新興再興ウイルスの話も時間をかけて解説したいですし、あと、がんウイルスの話もありますしね。おもしろい話が続々と出てきます。毎回、出席確認を兼ねて学生から講義の感想を書いてもらっています。まあ、もちろんこういうアンケートに悪い感想を書く学生はいませんが、概ねみんな寝ずにちゃんと講義を聞いてくれているような印象を持ちます。とにかく、学部1年生は純粋でモチベーションが高くていいですね。なんで専門課程に入るとみんな学ぶ気を無くしていくんだろう、、とふと思ったり。まあ、それはさておき、来年再来年と地道に講義内容をブラッシュアップしていきたいと思います。

2019.5.27 5月の気温にしては暑い

高知での研究会を終えて、その足でそのまま大阪に向かいました。新学術領域の班会議とオルガネラゾーン 国際シンポジウムに出席するためです。会場は、大阪大学吹田キャンパスの銀杏会館。

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およそいまから5年前までの5年間そこで研究していました。吹田キャンパスは吹田といいつつも箕面と茨木に面した北の端に位置していて緑がたくさんあり、周辺に居酒屋もなければ宿泊施設もないという不便さはさておき、比較的静かで良いところです。シンポジウムと班会議合わせて3日間そこに缶詰でした。ただ、空き時間を利用して、かつての仲間から、今の共同研究相手まで、いろんな人と会い情報交換を。とても濃い時間だったと思います。先端科学はとてもダイナミックに常に変化しています。取り残されないように気をつけなければ、、汗。

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微生物病研究所の南館。自分はこのの5階にいました。

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帰りの飛行機の窓から津軽平野の様子。田んぼに水を引き込んだ直後の津軽平野はあたり一面水浸し。いかに水田が多いかがわかります。

今回は高知ー大阪と長い旅でしたが、いい意味でリセットできました。たまにはこんなふうに日常から離れることも必要かな、、と。

2019.5.24 海の向こうはカリフォルニア

高知の桂浜で開催された日本脳炎ウイルス生態学研究会に参加してきました。フラビウイルスだけでなくベクターである昆虫の生態まで広く演題が集まる研究会です。普段、細胞の中のミクロの世界ばかりに焦点を当てていると、グローバルな疫学の視点が疎かになることが多く、その分野の情報を補う機会として毎年参加させていただいております。まあ、あと同じフィールドの研究者の方とのネットワークを作るという重要なミッションもあるんですが。

今回の研究会に参加して改めて感じたことに関して書きます。これまで自分はずっと日本脳炎ウイルスは有効なワクチンがあり、制圧下にある病原体であると思っていました。国内においてはそれはそれである意味正しいんです。事実、2018年の国内感染者報告数はゼロだったということで、かつては何万何千と発生していた症例をゼロにすることができたのですから、古くから対応されていた方々にしてみたらこのゼロという数字には感慨深ものがあるのではないでしょうか。ただ、まあ、ここのところ10人/年以下という数字が続いていたのでいつかはそういう日が来ることは予想はされていたでしょうが。いずれにせよ、このウイルス研究は感染症対策としてではなく、まだ対応できていない他のフラビウイルス(デングウイルスやジカウイウルス)の単なるひとつのモデルだろうとずっとそう思って研究してきました。しかし、海外をみるとそうでもないようです。うっすらとは知識としてありましたが、改めて今回の研究会で詳しく知ることができました。今回の研究会では中国CDCや感染研の方々が世界における日本脳炎ウイルスの疫学について詳しく紹介されていました。この感染症をうまくコントロールできているのは日本だけだで、世界中にはまだ数万人の患者が毎年発生しています。日本脳炎ウイルスによる感染症は数十パーセントのケースで重症化して後遺症になる神経変性を引き起こしたり、場合によっては死に至る怖い病気なんです。もちろん予防ワクチンを徹底的に普及させるということが目標であることは変わらないとは思いますが、万が一感染してしまった場合に対応方法がないというのも大きな問題で、それに備える研究をするというのも意義があるのではと、改めて思いました。もちろん、そこからデングやジカに対する方策も生み出されるというオプションもあってこそだとは思いますが。

高知へは人生で2回目の訪問。都市部からは空路でのアクセスがメインのいわゆる陸の孤島。我が弘前もしかりですが、孤島であればあるほど独特の文化が栄えるものです。空き時間にいろいろと散策しました。ひろめ市場で鰹のたたきを。比較的早い時間にいったにもかかわらず、、みんな呑んでます。さすが高知。鰹のたたきニンニクスライスが薬味で付いてくるのですが、翌日に研究会を控えているので、ほんの少しだけ(涙)。それでも美味しかったですよ。ほんとに。

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会場は桂浜すぐそばにあるホテルにて。「海の向こうはカリフォルニア」というお土産物屋さんの看板に書かれた言葉が妙に頭のこびりついて消えません。

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2019.5.21 学生実習2019

今年度の学部3年生対象の学生実習が行われました。内容は免疫細胞染色と顕微鏡観察。プラスミドベクターを細胞にトランスフェクションして、翌日細胞固定して免疫染色をするという内容です。ただ作業をしてもらうだけでは面白くないので、何が発現するかわからないプラスミドを3つ渡して、その局在パターンからどの遺伝子を発現させたのか数種類の候補の中から選んでもらうという、クイズ形式にしました。あと、ウイルス感染細胞を数種類の抗体で染色して、局在パターンの違いを観察するという実験も同時並行にて行いました。生ウイルスを扱うのは流石に問題あるので、こちらは固定した細胞を渡して解析してもらいました。

生命科学の実験の中で、生き物を何らかの方法で染色して顕微鏡でその形態や様子を観察するのが一番楽しい時間だと思うのですが、そんなことありませんか。ビックデータを扱うドライの解析が主流になりつつある中、こういう考えか方は古いと思われるかもしれませんが、観察力、洞察力、想像力など研究に必要な全ての要素がそこに含まれているのではないかと思います。本当は、多重染色が可能な蛍光顕微鏡を覗かせてあげたかったのですが、さすがに大人数をさばききれないので、今年は酵素抗体法による染色試料を個別の実習用の顕微鏡で観察してもらいました。

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