Morita Lab blog

研究室のニュースやトピックスなどを紹介します

2019.3.5 細胞質の中身が外に漏れ出す

ハーバード大学医学部の寒原先生に弘前大学にてセミナーをして頂きました。内容は「細胞質の中身が外に漏れ出す」仕組みについての話です。病原体の感染が起こると、免疫を担当する細胞は自ら自発的に細胞膜に穴をあけて膜を破って、中にある伝達物質を細胞外に放出させるという、、、本当にそんなけったいなことが起こってるのか??、と疑いたくなる内容ですが、、実はこの現象、ここ1-2年Nature誌やScience誌を賑わせているとってもホットなトピックなんです。寒原先生は、その細胞膜に穴をあけるタンパク質を欠損させたマウスを人工的に作って、その現象がいかにアレルギー反応に重要か説いてました。むちゃくちゃ綺麗なデータで、とても興味深い内容でした。またそのタンパク質に作用する薬剤のスクリーニングなど、トランスレーショナルリサーチとしても非常にクオリティーの高いものでした。

我々の研究室ではずっとウイルスがどうやって細胞外へ放出されるのか、その仕組みについて研究を行っています。その過程で、どんな場合にどんなものが細胞外に放出されるのか、ずっと興味を持って解析を行っています。まさか、膜が破けて中身が外に漏れ出すとは、、勿論、細胞が死んだらそんなことが起こるのでしょうが、細胞が自ら積極的にそんなことをしているなんて驚きです。今後は、この現象がどのくらい生理学的意義があるのか、が焦点になってくるはずです。今は、少なくともマクロファージが炎症性サイトカインを放出するときに重要であることがわかっていますが、はたしてそれ以外にもこのような現象は起こるのか。実は、似たようなタンパク質がいくつか見つかっています。ウイルスの中にもこのシステムを使って細胞外に出て行くものがあるのでしょうか、気になります。

 

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 セミナーの後は、大学院生の荒川くん、石田くん、瓜生くん、前田くんが、寒原先生の前で、順番に自分たちが行っている研究内容について発表しました。寒原先生からいろんなフィードバックをいただきました。その後はみんなで鍛冶町へ。留学についてなどいろんな話を聞くことができました。遠くからお越し頂いたうえに夜遅くまで感謝します。とても有意義な時間でした。