Morita Lab blog

研究室のニュースやトピックスなどを紹介します

ウイルスをつくる

 今年度は学部3年生を対象とした「文献講読」という授業を受け持っています。十人の学生を対象に、原著論文を読むという内容です。これまで分子生命科学の代表的な論文として、Cell誌に掲載された山中先生のiPS細胞の樹立の論文を読んできましたが、今年からは、Dr. Pei-Yong Shiの新型コロナウイルスのリバースジェネティクスの論文を取り上げています。感染性ウイルスを遺伝子組み換え技術でデザインして人工的に作り出すという内容です。タイムリーですよね。我々ウイルス学に携わっている者としては当たり前の技術ですが、3年生の学生さんにとってはきっと新鮮な内容だと思います。それに、遺伝子組換え実験が実際にどのように行われているのか具体的に教えるのに最適な教材だと思いまして。ウイルスの遺伝子ですが、大腸菌の中で安定して増やせないということがよくあります。この問題を解決するためにいろんな工夫が施されています。この論文も然り。
 そして遺伝子組換えでウイルスを人工的に作れるようになれば、ウイルスにいろんな改変を加えることが可能になります。この論文では蛍光タンパク質遺伝子の挿入に留めていますが、、。ウイルスは生物ではありませんが、増殖する生命体のようなものです。この遺伝子を自由自在に書き換えていろんな変異体を作り出しそれを使って実験するっていうのが、まさに日々我々が行なっていることなのです、、。楽しいですよ。