Morita Lab blog

研究室のニュースやトピックスなどを紹介します

2019.2.5 また来年も

私が担当している細胞分子生物学の講義が終わりました。最後に試験を行い、中間試験の結果を合わせて、最終評価点もつけ終わりました。結果についてここで詳細は控えますが。まあ、みんないい点数を取っています。

今年の講義の大きな特徴は、外部の先生を呼んで講演してもらったことでしょうか。ウイルス学の専門家とがん免疫の専門家。両先生方から直接話を聞く機会を設けることができました。新鮮だったのではないでしょうか。お呼びした先生方には、学部2年生が理解できる内容を、と多少無理なお願いをすることになってしまいましたが、学生からは良かったとの感想をたくさん頂きました。自分が学部学生のときは講義で外部の講師を呼んでくれた先生なんかいなかったぞ?と思ったり。でも、こういうの他大学では意外と普通にやられているんですよね。ということで、もし可能ならば来年もまた誰か別の方を呼びたいと思います。

いずれにせよ、講義を受けた学生の皆さんお疲れ様でした。

2019.2.1 Exhausted

 この一週間、まさにExhaustedという言葉がふさわしい時間を過ごしてました。M2の皆さん、修士論文提出お疲れさまでした。ある程度、大変であることは予想していましたが、、いやー大変でした。ほんとに。

 この研究室からは4名が修士論文を提出しました。直前に出張が二つも入り、なかなか論文を添削する時間がなくそれは申し訳なかったとは思うのですが、、、、脱稿するまでかなりギリギリまでかかってしまいました。最後は他のラボメンバーも加わりみんなで論文添削を行い、連日夜中まで、てんやわんやの一週間でした。そして2/1の締切日はそれはもう大変で、最後の論文の印刷が終わったのは夕方5時〆切10分前の4時50分。まるでチキンレースでしたね。こういう経験は久々でしたよ。しかし、なんとか無事にみんな論文をまとめ上げ、提出することができました。よかった、よかった。

 論文というのはレポートとは異なり形式を整えるという作業がとても重要です。慣れないうちはそういう作業が意外と時間がかかってしまうんですよね。まあ、そういうのを学ぶという機会にしてはよかったのではと思います。みんな実感できたのではないでしょうか。

 論文の中身についてですが、どれも上出来です。少なくとも、現時点でのベストな論文が書けたのではないでしょうか。面白い現象の発見に、誰もやったことのない世界初の試み。ソリッドな実験結果から得られた魅力的なモデル。どの論文も充実した内容になっています。本当にお疲れさまでした。

 

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あとは10日後の発表会ですね。まあ、これだけまとめられていれば発表は難なく終えることができるのではと思っております。、、おそらく。

2019. 1. 28 がんは治る、、

宮城県がんセンターの田中伸幸先生に弘前大学にて講義をしていただきました。田中先生は私が大学院博士課程のときの助手(今の助教)の先生で、今も昔も免疫学の専門家です。共同研究の打ち合わせのために弘前に来られるとのことで、私が担当している学部2年生を対象とした細胞分子生物学の講義の最終回:がん免疫の回を担当して頂きました。まさにタイムリーでふさわしい方に講義をしてもらえたと思っています。なかなか専門家に講義をして頂ける機会はありません。その価値が二年生に伝わったか、、。おそらく伝わったとは思うのですが、、。それにしてもがん免疫、面白いですね。本庶先生のノーベル賞のこともありますが、これまで不治の病だと思われていた病気が治るようになったというのは、単純に考えて凄いことですよ。今まで手の施しようがない末期のがん患者も今では全快する可能性があるという、、。もちろん全てのがんが治るというわけではありませんが、いつかそうなってもおかしくないと思えるような状況であることは間違えありません。すごいことです。

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 私が研究の世界に足を踏み入れて20年近く経ちますが、自分の研究分野で不治の病がそうでなくなった例がふたつあります。エイズC型肝炎です。エイズに関してはHIVが感染すると致死率100%、C型肝炎に関しても多くの方が肝がんで亡くなられるような病でした。それがどちらのウイルスも今や感染をコントロールできるようになり、死と直結するような病ではなくなりました。なぜそうなったのか。まさにサイエンスの力です。基礎生命科学の研究者が地道な努力でウイルス増殖の分子機構を明らかにし、ウイルス増殖に必要な酵素活性もしくはタンパク質相互作用を阻害する低分子化合物を見つけ出すことができたからです。素晴らしいと思いませんか。抗生物質の発見のときのような偶然の産物ではありません。研究者が病を治そうと狙って獲得した知恵なのです。これと同じようなことが、今ガン治療の世界でなされています。そんな話を今回の講義で聞かせて頂きました。といっても、発がんのメカニズムという基本的なところから講義をして頂いたので、肝心の最前線のところは少ししか時間を割いてもらえませんでしたが。でも、何れにせよ、大変興味深い話を聞かせて頂きました。田中先生ありがとうございました。

 これからも外部の講師を積極的に呼ぼうと思っています。ということで、このブログを使って少し宣伝を。2/28に岩手大学の芝先生にセミナーをしていただくことになっています。芝先生は細胞内膜輸送の研究をしている方で、合成させたタンパク質がどのように分泌されるのか研究されています。最近の研究成果について話をしていただけるとこのことです。そして、3/4にはハーバード大学から寒原先生をセミナーにお呼びしています。正確にいうと、米国から一時帰国するそうなのでその機会に合わせて遠い弘前まで足を運んで頂くことになりました。寒原先生には今話題のパイロトーシスの分子機構の話をして頂くことになっています。マクロファージが炎症誘導物質を細胞外に放出する際、細胞膜に孔を開けて直接中身を漏出させるということが最近わかってきました。とても熱い分野です。どうか皆さん、ご参加お待ちしております。

2019. 1. 24 若手の会といえど、、

名古屋での領域会議の後、そのまま新幹線にて西へ向かい、神戸から高速バスに乗り明石海峡大橋と鳴門大橋を渡って徳島へと向かいました。翌日からから2日間の日程で開催された、新学術領域の若手の会に出席するためです。徳島では大学院生の石田くんと合流し、私と後藤さんと石田くんの3人で参加してきました。

 若手の会とは、若手研究者に発表の機会を持たせようと立てられた新学術領域の企画です。私は、今回は、主催された大阪大学の齊藤先生と共に副幹事を任されておりまして、運営の方にも少しだけ関わらせてもらいました。まあ若手にも色々と定義があるのですが、ここでいう若手とは、大学院生と助教くらいまでの方を指すのでしょうか。私自身もこれまでにこういう若手を対象とした研究会に数多く参加させてもらいましたが、今まで参加してきたものは、よくいえば、もっと荒削りで不完全で、内容もそれなりに、といったものが多かった気がします。しかし、今回の若手の会は、、、どれもハイレベルな内容のものばかりでした。すごいなーと思いながら、聞いていたのですが、、、個人的には、もっとプレリミナリーな内容のものもあってもいいのかな、とも思いましたが。それはさておき、我々のラボからは石田くんがポスター発表で参加しました。他の研究室の先生や大学院生と直接交流する機会というのはなかなかありません。こういう機会を通して色々と知り合いを増やしていってくれたらと思います。

 今回運営を担当して下さった齊藤先生に感謝します。準備から考えると大変な作業だった思います。そして、来年度は私が幹事を担当することになっています。皆さんに充実したと思えるような若手の会を開催できればと思っていますが、、。f:id:moritae73:20190203172724j:plain

神戸から明石海峡大橋にて淡路島へわたるバスの車内から。途中、三宮駅で乗客を乗せるためにバスが停車。三宮は相変わらず賑やかでした。夜の三宮の雰囲気、懐かしく思いました。

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夜9時前に徳島駅に到着。弘前と違って暖かい。

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会場の四国大学交流プラザ。60名近い方々が参加しました。

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ポスター会場の様子。

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徳島ラーメン。豚骨醤油に豚バラ、そして生卵が乗るというコッテリラーメン。関西では結構知られているのですが、東北では滅多に見かけることありませんよね。



 

2019. 1. 22 細胞外微粒子研究が熱い!

1. 22から名古屋のルーセントタワーにて2日間の日程でCRESTの領域会議に参加してきました。2回目の領域会議です。今回は、我々第一期に採択された課題に加えて、第二期に新たに採択された課題も加わり、また、さきがけの課題もいくつか加わり、細胞外微粒子に関する研究の成果について議論する場となりました。

いやー面白かったです。どの研究もとてもレベルが高くて、興味深い切り口で取り組まれているものばかりでした。細胞外微粒子というと、我々が解析している細胞から分泌されるエクソソームのような小胞の他に、PM2.5アスベストなどの環境微粒子、それから、医療用のキャリアとして用いられるポリマーなども含まれ、今回の会議でも、様々な視点に立った研究に触れることができました。どちらかというと、生物工学系の応用研究が多いかなとという印象を持ちました。それにしても、細胞外微粒子の最前線の研究が集まっているのにもかかわらず、ウイルス学者が殆どいないというのは、なんというか、。大丈夫なのか日本のウイルス研究は、、、とも思いますが。それはさておき、この領域を介して、我々が行なっているような分子生物学的アプローチと、応用生物工学系のアプローチが融合してそれぞれが新たな研究分野へと発展することが期待されます。何れにせよ、私たちがこういうサイエンスの最先端にいられるのが本当に幸運なことだと思っています。

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会場のTKPガーデンシティPREMIUM名古屋ルーセントタワーこの一室に2日間こもって会議に参加していました。

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懇親会の会場からからの景色

 

2018.12.27 大掃除と納会

2018年もあとわずかとなりました。ということでみんなでラボの大掃除。床を磨いてワックスをかけて、、。こういう時でなければ掃除しないようなところもあり、まさに一年で溜まった垢を洗い流す作業。さすがに人数が多いせいか、なんとか午前中のうちに作業を終えることができました。

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掃除の後のお昼は納会。寿司とピサを囲んでみんなでワイワイと。1年間お疲れ様でした。嫌なことは忘れてまた新しい年に向けて皆で楽しくやっていきましょう。

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卒業生の新井さんから送られてきた豚の足丸ごと一本の骨つきハムを頂きましたー。

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とても大きく、ズシリと重く。こんなハム初めての経験です。みんなも興奮してました。味は、しっとりとジューシーで美味しかった!みんなでペロリと食べてしまいました。

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最後は骨を煮込んで豚骨スープをとりました。

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年末は大雪で交通機関に欠航遅れが、、。

みなさん無事に帰省できますように。

2018.12.18-21 オルガネラゾーン研究会に参加して来ました

このブログはなんだか自分の出張報告のような様相を呈してきましたが、これが今年最後の出張となります。12/17-19に私と大学院生の石田くんと瓜生くんの3人で東京医科歯科大学で開催された新学術領域オルガネラゾーンの報告会と、セミオープンのオルガネラゾーン研究会に参加してきました。私はオルガネラゾーン研究会の方で発表する機会を頂き、荒川くん、瓜生くん、廣瀬さんが中心になって研究を進めているオートファジーに関する研究について発表してきました。以前にも書きましたが、この領域には国内の細胞生物学に関するトップクラスの研究者が数多く参加しており、その大御所の先生方の前で発表するというのは、胃がキリキリするほど緊張を伴うものです。荒川くん、瓜生くん、廣瀬さんの日頃の頑張りのおかげで、なんとか無事に発表を終えることができ、また、多くの先生方から質問やフィードバックを頂くことができました。三人ともすごい研究をしていると思います。改めて思いました。この会では、60名近いトップクラスの先生方が3日間に渡り公演して下さり、そしてそれらの発表はどれも素晴らしく内容の濃いものでした。いつものことながら大変刺激になりました。とにかく内容が濃いので、3日間あっという間に終わってしまったという印象があります。こういう会に参加させてもらえて光栄に感じております。

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 私は19日に弘前に戻りましたが、瓜生くんと石田くんは、そのままつくばエクスプレスに乗って筑波の産業科学技術総合研究所へ。21日までSTED顕微鏡という超解像顕微鏡を使ったイメージング解析を行うためです。蛍光サンプルを50nm以下の分解能で観察できる特殊な顕微鏡で、共同研究者の加藤先生にお世話になりました。2人とも、加藤先生から直接正しい顕微鏡解析の技術を学ぶことができ、良い機会だったのではないでしょうか。加藤先生ほどの専門家から直接指導を受ける機会というのはなかなかありません。是非ここで学んだことを今後の研究に活かして頂けたらと思います。また、お忙しい中、ご協力頂いた加藤先生には大変感謝しております。

 それにしても、今年は本当に出張が多い年でした。振り返ると、今年は走りっぱなしの一年だったような気がします。来年はもう少し落ちついた環境で腰を据えて研究に取り組むことができたらと切に願います。とりあえず、年末年始は閉じこもって先延ばしにしてきた論文執筆に集中します(論文を書く時間はここしかない!)。